ハッシーさんの作品

 ヒルアヴェミニ劇場。「愛と死を見つめて。」

                           作 ハッシー 

もこ:「要さん!!どうして死んでしまったの!私を残して、、。」

もこは枕を抱きかかえて、つい今しがたまで要の寝ていたパイプベッドに泣き崩れた。

もこ:「今年も海に行くって、いっぱい映画も見るって、約束したじゃない。あなた、約束したじゃない。わぁーん!!」

のりにのってた「もこ」に後ろから要が声をかける。

要:「おいおい、勝手に殺すなよ。」

「ぎくっ!」という表情を要に向け、もこが照れ混じりに話し出す。

もこ:「なーんだ、いたんだ。」

要:「『いたんだ』、じゃねえだろ、なにやってんだよ。」

もこ:「ちょっとさあ、不幸な女気分に浸って、お芝居してたの。だってさあ、暇だったんだもん。せっかくお見舞いに来たのに、要ちゃんいないし。」

要:「お見舞いって、検査入院だって言ったろ。かってに部屋に上がり込んで、おまけにわけの分からんことをやってる し。」

もこ:「いいでしょー、このところ私たちドラマティックなことが何もないわけだし。つきあいが長いってのも考えもんよね え。、、、、、ところで、どの辺から観てたの?」

要:「最初から最後までぜーんぶ観てたよ。それにしても途中の台詞はなんだ?
ありゃ。沢田知可子の歌、そのまんまじゃないか!発想が貧困だなあ。」

もこ:「うるさいわねえ。私も言ってて恥ずかしかったわよー!ああ、まさか見てるとは。」

要:「はっはっは、正義は勝つ。」

 訳の分からない事を言いながら、要はベッドに横たわった。

要:「あのさあ、暇ならそこのリンゴでもむいてくれない。」

もこ:「りんごなら丸かじりすればいいでしょう。リンゴは皮の部分にも栄養があるんだから。」

要:「そういう年寄り臭いことを言ってるから、リスナーに歳のことでつっこまれるんだぞ。早くむけよ。」

「『かちーん』、また言われてしまった、」と思いながらも、もこはリンゴをむき、要に差し出した。。

もこ:「おとっつぁん、リンゴがむけたわよ。」

要:「、、、、、こんどはなんだ。時代劇か。」

もこ:「もお、テンションが低いわねえ、のってくれてもいいでしょ。はい、やり直し、いくわよ。『おとっつぁん、リンゴがむ・け・た・わ・よ。』」

要:「すまないねえ、おまえにばかり苦労をかけて。こんなとき母さんが生きていてくれたら、」

もこ:「おとっつぁん、それは言わない約束でしょ。」

要:「なんだかこれ、イメクラみたいだなあ、」

もこ:「おとっつぁん、それも言わない約束でしょ。、、、ちょっとイメクラって何なの?」

要:「イメクラってのは、、、、、イマジネーション豊かなアーティストが集まって談笑するクラブのことだよ。」

もこ:「なんだ、そうなんだ。私は風俗のイメージクラブのことかと思っちゃった。」

要:「おいおい、下ネタはいかんぞ。」

もこ:「そっちが先に言ったんでしょ。」

要:「おまえこそ、意味が分かってて聴いてんじゃんかよ。」

 などと、高尚な会話を楽しんでいる内に、次の検査の時間がやってきた。

要:「部屋の中をいじくるんじゃないぞ!」と要は「もこ」にクギを刺して出ていった。

もこ:「なによ、やらしい本を隠してる高校生じゃあるまいし。」とプンプンしながら、もこは要が帰ってくるのを待っていた。

1時間が過ぎ、2時間が過ぎた。それでも、要は帰ってこなかった。

「どうしたんだろう。いくら何でも遅すぎる。」もこは次第に不安になって、うろうろと部屋の中を歩き始めた。そして、ふと、ベッドに目を向けると、マットレスの下になにやら紙のようなものが見えていた。

「なんだろう。」もこはその紙を引っぱり出して見た。そこには、見慣れた「要」の文字が並んでいた。

要(モノローグふう):「君を残して旅立っていく僕を許しておくれ。僕にはもうどうしようもできないんだ。残り少ない命の時を、すべて君にささげよう。そして、いつまでも君を見つめているよ。天国の雲の上から、、。」

もこ:「こっ、これは!!、、、。もしかして要さんの遺書、そんな。そんな。」もこは目の前が真っ暗になるのを感じた。

もこ:「そうだ、そうに違いない。考えてみれば、検査入院で個室に入るなんておかしい。ただの検査なのにもう2時間も戻ってこない。そんなぁ、私に黙って遺書まで書くなんて。そんなぁ、そんなぁ」

もこの目に涙がとめどなくあふれた。かけがえのない彼をを失って、どう生きていけばいいのか。何も考えられない、、何も考えたくない。

「私は、私はどうしたらいいの?」もこの手から、握りしめていた要の遺書が滑り落ちた。

要:「おい、どうしたんだ!」要が部屋に戻ってきた。

涙でぐしょぐしょになった「もこ」の顔に「ぎょっ!」としながら、要は歩み寄っていった。

要:「おいどうしたんだ、何があったんだ。」

もこ:「わたし、、わたし、、」

まともに話すことができない「もこ」。とにかく「もこ」を落ち着かせよう、何か言わねば、何を言ったら、と考えている要の目に、床に落ちている紙が飛び込んできた。

要:「あれは、、ははーん、なるほど。」

すべてを理解した要は、その紙を拾い上げると、「よく見てご覧。」と「もこ」に差し出した。

要に諭されて、もこは改めてその紙を見た。そして見つけたのだ。

「残り少ない命」「天国の雲」それらの文字の先に、『繰り返し』の文字とサビと思われるところに星印(*)がついているのを。

要:「新曲の歌詞だよ。まだ途中だから誰にも見せたくなかたんだけど。見たのか?しょうがない奴だなあ。」

すべては自分の勘違いだと気づいた「もこ」は一言、「うるさいわねえ。」と泣きながら答えた。

<おしまい>


うわお、熱中して書いてたらこんな時間に。早く寝なくては。しかし、つまらん話だ。文学の才能はないね。